Magpie in Hokkaido

活動の目的と概要

なぜ北海道のカササギ?

このプロジェクトを立ち上げているのはプロやセミプロの鳥の研究者ですが、研究のきっかけは「どうして北海道でカササギが増えているのだろう」という素朴な疑問です。

カササギは世界各地にいます(-> カササギの分布と分類)。しかし、日本では朝鮮半島から人為的に持ち込まれた九州北部を除いてカササギは分布していませんでした。カササギは鳥ですからその気になれば海を渡ることができそうにも思えますが、これまでは日本にまで分布を広げることはなかったのです(-> 日本国内の動向)。

一方で、日本各地で観察記録があります。飼育していたものが逃げ出した「カゴ抜け」だろうとか大陸から飛来または暴風に飛ばされてきたのだろうなど、いろいろな説明がされてきましたが、いずれもそのうちいなくなるか数羽で細々と続いているだけでした。

ところが、1980年代に入って北海道各地での記録が増え、特に室蘭市から苫小牧市を含む胆振地方では毎年のように繁殖が確認されるようになりました。ではどうして本州ではなく北海道で定着したのでしょうか。北海道のカササギはどこからやってきたのでしょうか。そして、北海道のカササギは今後どうなっていくのでしょうか。そんな疑問を解き明かしたいと始まったのが「北海道カササギプロジェクト」です。

どんなことを調べているの?

地元の野鳥の会会員や市民の観察情報はある程度まとめられて学会や論文で発表されていましたが、私たちが最初に系統的な野外調査に取り組んだのは2010年でした。長谷川らが、藤原ナチュラルヒストリー振興財団の学術研究助成を得て苫小牧市でカササギの巣を探索したところ、濃淡はあるものの、中心部の市街地や森林原野を除く市内全域にカササギが生息していることがわかりました。

生物が新しい生息地に定着する過程を直接調べられる機会はなかなかありません。カササギは住宅地などに生息し、大きくて目立つ鳥ですし、どんどん増えれば他の生物や農作物に影響する可能性もあります。そんなことから、これはもっと本格的に調べるべし、ということになったのです。

今は、苫小牧市内のカササギを主な対象として、どこから来たのかという由来地を遺伝子から推定したり、主な食べ物を窒素や炭素の安定同位体比から推定したり、どんな環境を好むのかや分布範囲の変化、繁殖成功率などを直接観察で調べています。こうした情報から北海道内でのカササギの分布範囲が今後どのように広がっていくのかを予測し、モニタリングすることを目指しています。

市民との協働

本格的に研究するには資金やマンパワーが必要です。幸い、九州のカササギを長く研究されていて、鳥類の外来種にも詳しい九州大学(当時)の江口氏が興味を持ってくれて、学生を送り込んでくれたり研究資金の獲得に努力してくれました。途中から、学会での酒席がきっかけで藤岡が参加し、つくば(茨城県)から学生といっしょに苫小牧市に調査に入ってます。

研究資金の獲得にはなかなか苦労してきましたが、ようやく2014年度から3年間の科研費(科学研究費補助金)を得ることができました。小さな金額なので高額機械などは買えませんが、このホームページを開設したり、現地調査や分析での自己負担を減らしたりできるようになりました。

しかし、です。北海道は広いのです。苫小牧やその周辺はできるだけ自分たちで回るようにしていますが、たまにしか行けませんので当然見逃しがあります。ましてや、道内各地に出没するカササギを追うことなどとてもできません。そこで期待しているのが市民の目、市民との協働です。

カササギは人目につきやすい鳥です。他の鳥と間違えることもまずありません。過去にも野鳥愛好団体の機関誌や地方新聞、ウェブサイトなどに観察記録がしばしば載っていますので、それらは私たちも収集・整理を進めています。でも、カササギは分布を広げつつある鳥です。今現在の、ほぼリアルタイムでの記録がとても大切になります。そこでこのホームページでも皆さんに情報提供をお願いしている次第です。

市民との協働というからには、一方的にお願いだけするつもりはありません。学校や市民団体などでカササギの話をしてほしいといった要望がありましたら、できるだけの対応をしますので、ぜひご連絡ください。興味深い話ができることはお約束します。もちろん、皆さんから提供された情報はわかりやすくまとめてこのホームページなどで公表していきます。


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(2015年6月1日更新:藤岡正博)

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